自動車や自転車は、ブレーキライニング(パッド)とドラム(ローター)の摩擦により制動を行います。
実際には、路面とタイヤの摩擦が制動の最終アウトプットとなり乗物は止まります。
さて、陸上を走る乗物のブレーキはなじみがあるものですが、
海や空などの世界ではどのようになっているのでしょうか。
【海】
海の乗物と言えば、船です。
かつては、フェリーが全国に就航しており、旅客・物資移動の手段として一般的でした。
しかし、「速く、正確に」が叫ばれた時代に次々と航路が廃止されてしまったことは残念で仕方ないですが、
現在でも現役で運行しているフェリーはまだまだあります。
では、これらの大型客船、
いったいどのように止まるのでしょうか。
調べてみると、なんと船にはブレーキが無い!!
スクリューを逆回転させて制動させるとのことですが、急停止は得意でないようです。
【空】
空の代表は、なんといっても旅客機です。
旅客機は、約200km程度の速度で着陸し、あの大きな機体を停止させることから、制動装置も複数あり、それぞれ気合が入ってます。
1. 主翼のスポイラー
主翼にある装置(スピードブレーキ)で空気抵抗を作り出します。空気抵抗で機体を停止させる目的よりも、主翼下にある車輪のブレーキにトラクションをかける意味合いのほうが強いようです。
2. ブレーキ
旅客機は、滑走路とタイヤが設置しているので、自動車のようなブレーキを搭載しています。ただし、多板構成となったブレーキローターなど、気合が半端ありません。
3. エンジン逆噴射(逆推力装置)
エンジン推力を逆側へ作用させることから、フェリーのスクリュー逆回転と同じ意味合いになります。
でも、なぜだか言葉に「パンチ」を感じます。
【宇宙】
探査機は、名前の通り目的物を探査することから、精緻な姿勢制御等が重視され、制動・制御装置が多数搭載されています。
例えば、はやぶさ2では
1. イオンエンジン
2. 化学エンジン
3. リアクションホイール(直接の制動装置ではないですが、姿勢制御することで細やかな挙動調整が可能)
があり、特にエンジンから噴射されるガスで速度の調節を行っているようです。
変わり種としては、実験衛星”ひてん”の「エアロブレーキ」でしょうか。
衛星や探査機をスイングバイ時に大気層へ突入させ、大気との抵抗を生じさせて減速・軌道変更するものです。
制動を切り口に色々調べると楽しいですね。
他にこんなものもあるよ、という方がいらっしゃれば、ぜひお教えください。